現在地膵炎後の被包化壊死は、見つかっただけで治療するとは限りません

ACUTE PANCREATITIS & WON

膵炎後の被包化壊死は、見つかっただけで治療するとは限りません

重い急性膵炎の後、傷んだ組織と液体が壁に囲まれて残ることがあります。これを被包化壊死(WON:ウォン)と呼びます。感染、痛み、周囲の臓器への影響を見て治療を判断します。

まず押さえたいこと

  • 重い膵炎のあとに、傷んだ組織や液体が残ることがあります。

  • 残っているだけで、すぐに処置が必要とは限りません。

  • 感染・痛み・周囲への影響を見て、段階的に治療を選びます。

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やさしい医療用語集を開く ↗
急性膵炎用語集へ ›
膵臓に急な炎症が起こり、強い上腹部痛などを来す病気です。
壊死性膵炎用語集へ ›
膵臓や周囲の組織の一部が傷み、血流が失われた重い膵炎です。
WON(被包化壊死)用語集へ ›
傷んだ組織と液体が壁に囲まれて残った状態です。
ドレナージ用語集へ ›
たまった液体や膿を、管を使って外や消化管へ流す治療です。

急性膵炎から被包化壊死(WON)まで

急性期急性膵炎

強い腹痛で始まり、呼吸・循環・腎機能など全身へ影響することがあります。

経過中壊死性膵炎

膵臓や周囲組織の一部が壊死し、感染の有無が重要になります。

おおむね4週以降被包化壊死(WON)

傷んだ組織と液体が壁で囲まれます。画像で内部の固形成分と周囲臓器への影響を確認します。

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治療を考える主な理由

01

感染が疑われる

発熱、炎症反応、全身状態の悪化、画像所見などを総合します。

02

痛みや食事困難が続く

胃や十二指腸の圧迫、腹痛、嘔吐、栄養障害がある場合です。

03

胆管や他臓器を圧迫する

黄疸や通過障害、周囲臓器への影響がある場合です。

04

経過が改善しない

保存的治療で改善せず、感染・壊死が病状を支えていると考えられる場合です。

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負担の少ない方法から段階的に治療する

1

全身管理と感染評価

輸液、栄養、臓器サポート、必要時の抗菌薬を行います。

2

ドレナージ

病変の位置、内容物、全身状態に合わせて方法を選び、内視鏡または皮膚から入れた管で内容物を排出します。

3

壊死除去

ドレナージだけで改善しない場合に、内視鏡的壊死除去などを追加します。

4

外科治療

低侵襲治療で十分でない場合に検討します。最初から開腹手術を選ぶとは限りません。

病状が許せば、壊死に対する侵襲的治療を急性期直後ではなく、壁が形成される時期まで待つ考え方があります。ただし、重症感染や臓器障害では個別判断です。

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治療前に確認したいこと

  1. 感染の可能性は、何から判断していますか?症状、血液、画像、培養などを総合します。
  2. 治療が必要な理由は感染、症状、圧迫のどれですか?目的を明確にします。
  3. 内視鏡と経皮的ドレナージのどちらが適していますか?病変の位置、内部の固形成分、全身状態に合わせて方法を選びます。
  4. 一回で終わる治療ですか?複数回の処置やステント抜去まで含めた見通しを確認します。
  5. 膵管断裂や再発の評価は必要ですか?退院後の画像、ステント、膵機能の管理まで確認します。
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根拠資料・医学情報の確認内容を開く

国内外の診療ガイドラインと査読論文を用い、確立していることと、施設や患者さんの状態で判断が分かれることを区別して記載しています。

医学情報確認日
2026年8月23日
今回の確認内容
急性膵炎と被包化壊死に対する治療時期・段階的治療の説明を確認しました。
内容・表示更新
2026年9月20日:内視鏡治療への案内を、安全性を保証するように読まれない具体的な説明に修正しました。治療方針の変更ではありません。
確認体制
執筆者本人が医学情報を確認しています。外部確認を実施した場合のみ、確認者の専門領域と確認日を表示します。
情報源の選び方・更新方法・利益相反の方針を見る ↗
  1. ESGE guideline: endoscopic management of acute necrotizing pancreatitis ↗感染性壊死・WONに対する介入時期、ドレナージ、壊死除去を扱う指針。
  2. Endoscopic management of walled-off pancreatic necrosis ↗WON内視鏡治療の適応、方法、課題をまとめたレビュー。

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執筆者と情報の確認

執筆・医学情報確認丹野 誠志

消化器内科医・医学博士/イムス札幌消化器中央総合病院 院長

医学情報確認日:2026年8月23日

内容・表示更新:2026年9月20日(医学情報確認日とは区別しています)