現在地膵がんは、病名だけでなく病期と全身状態で考える

PANCREATIC CANCER

膵がんは、病名だけでなく病期と全身状態で考える

膵がんの治療は、病変の広がり、血管との関係、遠隔転移、病理診断、体力や併存疾患をそろえてから決めます。

まず押さえたいこと

  • 治療は、がんの広がりと体の状態を確認して決めます。

  • 手術・薬物療法・放射線治療などを組み合わせて考えます。

  • 治療の目的と生活への影響を、主治医と共有しましょう。

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このページの用語

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やさしい医療用語集を開く ↗
病期用語集へ ›
がんの広がりを表す段階で、治療を選ぶ大切な材料です。
切除可能性用語集へ ›
画像などから、手術で安全に取り除ける可能性を評価する考え方です。
病理診断用語集へ ›
採取した細胞や組織を顕微鏡で調べ、病気の種類を確かめることです。
支持・緩和医療用語集へ ›
痛み、黄疸、栄養、不安などを和らげ、生活を支える医療です。

早期発見のために、知っておきたいこと

生活

できることから禁煙を

喫煙は膵がんの危険を高める要因です。禁煙は大切ですが、生活習慣に気をつけていても発症することはあります。患者さん本人の責任ではありません。

変化

血糖や体重の変化を伝える

特に50歳以降に糖尿病を指摘された方や、血糖が急に悪化した方で、理由のない体重減少などがあれば主治医に相談してください。糖尿病の大部分は膵がんが原因ではありません。

検査

全員に同じ検査ではありません

症状も特別な危険因子もない方全員に、膵がんの定期検査を勧める根拠は十分ではありません。一方、IPMNのある方などは、状態に応じた経過観察が必要です。

家族

家族の病歴も相談材料に

血縁者に膵がんの方が複数いる場合や、遺伝性のがんに関係する体質を指摘されている場合は伝えてください。検査を始める年齢や方法は個別に考えます。

黄疸・発熱・強い腹痛など、早めの受診が必要な症状 ›

腫瘍マーカーだけで、がんが分かりますか?

CA19-9などの血液検査だけでは、膵がんを見つけたり否定したりできません。必要に応じて造影CT、MRI、EUSなどを組み合わせます。検査値が正常でも、症状や画像の変化があれば確認が必要です。

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診断でそろえる四つの情報

01

病変の場所と広がり

膵頭部・体部・尾部、血管との関係、リンパ節、肝・肺などへの転移を画像で評価します。

02

病理診断

薬物療法などを始める前には、胃や十二指腸から超音波で見る検査(EUS)を使って組織を採り、がん細胞を確認することが一般的です。

03

切除可能性

切除可能、切除可能境界、局所進行切除不能、遠隔転移ありを区別し、外科・内科・放射線科で検討します。

04

全身状態と本人の希望

年齢だけで決めず、体力、栄養、黄疸、糖尿病、痛み、通院可能性、治療目標を合わせて考えます。

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治療は一つではありません

手術の前後に薬を使うのは、目に見えないがん細胞にも働きかけ、再発を減らすためです。新しい治療の報道を見たときも、自分の病期や治療歴に当てはまるかを確認しましょう。新しい薬と遺伝子検査について読む ›

SURGERY

手術

根治を目指せる重要な治療ですが、病変の広がりと全身状態を慎重に評価します。術前・術後治療を組み合わせる場合があります。

SYSTEMIC

薬物療法

診療ガイドラインなどの科学的根拠を基に、病期、体力、臓器機能、治療歴、本人の希望を踏まえて選びます。

抗がん剤治療を詳しく読む ›

RADIATION

放射線療法

局所制御、症状緩和、他治療との組み合わせなど目的を明確にして検討します。すべての病期に一律に行う治療ではありません。

SUPPORT

支持・緩和医療

黄疸、痛み、栄養、消化吸収、糖尿病、血栓、心理面を治療開始時から並行して支えます。

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抗がん剤研究を含む基礎研究は、診療を考える背景です

がん細胞の中では、増殖や治療への反応を調節する複数の「情報の伝わり方」が研究されています。PI3K、AKT、AKT2、IGF受容体に加え、ゲムシタビンによる細胞死や薬剤耐性に関する基礎研究にも携わってきました。ただし、細胞や動物を使った研究の結果を、そのまま一人ひとりの治療選択に使うことはできません。

放射線が効きにくくなる仕組みについて

AKTという分子の働きと放射線への反応の関係を示す基礎研究はありますが、実際の放射線治療の効果を一つの分子だけで説明できるわけではありません。本サイトでは、研究段階の考え方と、診療で確立している判断を分けて記載します。

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治療方針を聞くときの五つの質問

  1. 病期と切除可能性は、どの所見から判断しましたか?画像のどこが方針を決めているかを確認します。
  2. 今回の治療目標は何ですか?根治、再発抑制、腫瘍縮小、症状改善を区別します。
  3. 組織診断と遺伝子・バイオマーカー検査は必要ですか?病期と治療段階に応じ、いつ検討するかを確認します。
  4. 効果判定は、いつ、何を使って行いますか?画像、腫瘍マーカー、症状、体重や体力を総合します。
  5. 治療が効かない場合や続けられない場合の次の選択肢は?次の治療と、症状を支える方針も先に共有します。
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根拠資料・医学情報の確認内容を開く

国内外の診療ガイドラインと査読論文を用い、確立していることと、施設や患者さんの状態で判断が分かれることを区別して記載しています。

医学情報確認日
2026年8月23日
今回の確認内容
膵癌診療ガイドライン2025年版に基づく診断・治療の流れを確認しました。
内容・表示更新
2026年9月16日:総説と公的資料をもとに、禁煙、血糖・体重の変化、個別の検査、家族歴について患者向けの要点を追加しました。
確認体制
執筆者本人が医学情報を確認しています。外部確認を実施した場合のみ、確認者の専門領域と確認日を表示します。
情報源の選び方・更新方法・利益相反の方針を見る ↗
  1. Mannucci A, Goel A. 膵がんの早期診断・予防・治療に関する総説 ↗CA Cancer J Clin. 2026;76:e70035(オンライン公開2025年9月19日)。海外の総説を、日本の患者さん向けに要点を選んで紹介しています。
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス:膵臓がんの予防・検診 ↗一般の方への検診と、リスクに応じた個別の診療を区別するための資料。
  3. Clinical Practice Guidelines for Pancreatic Cancer 2025 — synopsis ↗日本膵臓学会ガイドラインの診断、手術、薬物療法、放射線、ステント、支持・緩和医療の概要。
  4. 日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン2025年版・診断法 ↗画像、病理、病期、リスクと遺伝学的高危険群に関する改訂点。

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執筆者と情報の確認

執筆・医学情報確認丹野 誠志

消化器内科医・医学博士/イムス札幌消化器中央総合病院 院長

医学情報確認日:2026年8月23日

内容・表示更新:2026年9月16日(医学情報確認日とは区別しています)