IPMN=膵がんではありません

IPMNは膵管にでき、粘液を産生する腫瘍の一つです。多くの分枝型IPMNは、診断後すぐに手術するのではなく経過観察になります。ただし一部では悪性化が起こるため、病変の特徴と時間的な変化を確認します。

IPMNで考える二つの膵がん

RISK 1

IPMN由来癌

IPMNの内部に結節が生じる、主膵管が広がるなど、IPMNそのものが悪性化する場合です。

  • 壁在結節
  • 主膵管拡張
  • のう胞の増大
RISK 2

併存する通常型膵がん

IPMNとは離れた膵臓の場所に、一般的な膵管がんが新たに発生する場合です。

  • 膵実質の変化
  • 新しい膵管狭窄
  • 糖尿病の変化

なぜ「膵臓全体」を見るのでしょうか

IPMNの経過観察で、のう胞の大きさだけを見ていては、IPMNから離れた部位に生じる通常型膵がんを捉えられない可能性があります。そのため、のう胞内部の所見だけでなく、膵管の狭窄や膵実質の変化など、膵臓全体を前回画像と比較します。

経過観察の要点

「IPMNそのもの」と「IPMNとは別の場所」の両方を見る。この二つを分けて考えることが、長期観察では重要です。

長期観察研究から診療へ

執筆者は、壁在結節を認めない分枝型IPMNの自然史、IPMN患者に発生する追加の膵がん、同時性・異時性の膵管がんについて継続して報告してきました。このサイトでは、それらの研究だけを特別視するのではなく、国内外の研究と診療ガイドラインを踏まえて患者さん向けに整理します。

代表論文:Gut(2008)、Clinical Journal of Gastroenterology(2009)、Pancreas(2010、2012)